FusionSolar のコントロール (2)

FusionSolar アプリでできる設定

スマートロガーのWiFiに直接接続すれば、結構いろいろな設定もできるのですが、IPアドレスの設定以外は業者向け設定で、下手に変更すると、グリッド側に迷惑をかけたり、システム全体がおかしくなったりしそうなので、触るつもりはありません。スマートロガー自体のIPアドレスは、今の我が家のLANで問題ないように固定IPで設定しているし、将来的にも変えるつもりは無いので、ログインすらしないと思いますが、仕事上、自宅のネットワーク及びそれの接続機器は完全に把握してコントロール可能な状態にしておかないとならないので、情報だけは頂いています。本来は業者さん用で、フロンティアジャパンも、このあたりに詳しくないお客様に対しては、設定変更が必要になったら、フロンティアジャパンの技術者を呼んで欲しいというスタンスのところを、特別に?教えていただきました。

一方アプリから、システムの運用者としてできる設定は、多くなくて、次の設定です。

  • [インバーター] 災害用に確保するバッテリーの容量(通常時はこの容量になったら、放電停止します)
  • [バッテリー]PV(太陽光パネル)からの充電で満充電とする、SOCの値(%)通常 100
  • [バッテリー]充電停止のSOCの値(%)通常0 災害用の確保の値が優先になりますので、災害用確保が10%になっていれば、この値に関係なく、10%で止まります。災害時は自立モードになり、(おそらく)ここで設定した値まで放電するものと思います。
  • [バッテリー]グリッドからの充電を有効にするかどうか 通常は有効ですが、絶対系統の電気を使いたくない場合は、無効にするのが良いでしょう。LOOOPでんきのメリットを活かすには、有効にする必要があります。
  • [バッテリー]グリッドからの充電を停止する容量
  • [ロガー]運用モード 最大自己消費(グリーンモード) もしくは、TOU(自分で充電と放電の時間帯を指定するモード)の2つです。TOUにすると、時間帯の指定と、PV発電量が余った場合に売電にするか充電にするかの選択と、グリッドからの充電時の最大電力(kW)の指定が出来ます。 グリーンモードはフルオートで、特に設定はありませんが、これはTOUで言えば、1日中放電モードで、PVで余った分は蓄電に設定したのと同じではないかと思います。

運用モードがなぜロガー側の設定にあるのかは謎ですが、バッテリー側の設定以外は、PCSの設定と考えても良いかと思います。

自動運転

自動運転の場合は、簡単で、ロガーの設定で、最大自己消費(グリーンモード)を選ぶだけです。PVが発電していれば、電力が自家消費に使われ、余剰電力があれば、蓄電されます。PVの発電量が自家消費より少ない場合は、蓄電池の残量があれば、蓄電池から放電され、それがなくなる(放電停止の設定になったら)と、グリッドからの電力が使われるようになります。グリッドから蓄電池への充電が行われることはありません。(ほんの僅かに流れてしまう量がありますが、システム上避けられません)

自動運転時は、ロガーの災害用確保量の設定が唯一と言っても良いでしょう。通常は10%とかで、発電量が少なく、次の発電まで間に合いそうに無い場合は、様子を見て、3%くらいまで下げても良いかと思いますし、蓄電池の容量が自家消費量に対して大きい場合は20%とかでも良いかもしれません。我が家の場合は、15kの蓄電池に対しても自家消費量が多いので、5%程度に設定していたりします。

ほくでんの従量電灯Bの様に電気代の単価が1日中同じ場合は、この設定で十分で、TOUモードにしても何も良いことはありません。

TOUモード

グリーンモードがオートマなら、こちらはマニュアルで、LOOOPでんきのメリットを活かすにはこれが必要です。自動運転は、PVが発電している時は蓄電しますが、グリッドからの充電はしません。蓄電池の残量が無くなったら、グリッドからの電気を消費するだけです。しかしスマートタイムでは、単価の安い時に電気を買って、単価の高い時に売る(売るのではなく消費するなので、スーパーで安い時にお肉を買いだめしておくようなものか…)という投資型なので、電気を仕入れる(消費ではなく蓄電する)必要があります。TOUモードでは、時間枠を指定して、その時間枠に対して、蓄電するのか放電するのかを設定します。1日の中で、蓄電も放電もしない時間帯を設ける事もできます。(蓄電も放電も設定されていない時間枠がアイドリング状態になります)ここで、蓄電というのは、PVからの蓄電ではなく、グリッドからの蓄電であることに注意をしておく必要があります。つまり、蓄電の時間枠では、PVが十分発電していようがいまいが、グリッドから蓄電します。その量は、kWで指定します。デフォルトは5.0kW になっていましたが、50A ですから、家の契約Aと同じです。電気ストーブが1,200Wですから4台同時に使っているような状況ですね。他の家電を使ったら、50A超えてしまいますが、この設定値は、Maximumとありますので、PCSが全体で50A超えない様に制御してくれるのでしょう。とは言え、流石に50Aの電気を使い続けるのは気になるので、一旦 3.0kW に落としました。蓄電池の容量が15kWhですから、0%から初めても、5時間で満充電になる計算です。あるいは1時間で20%と考えても良いでしょう。つまり、夕方に30%くらいしか蓄電されていなければ、単価の安い時間を狙って、2時間30分くらい充電してやれば80%にすることが出来ます。あとは次の発電が始まるまで放電モードにするか、グリーンモードに戻しておけば良いでしょう。

この蓄電モードでは、バッテリ側のグリッドからの最大充電容量の設定が有効です。これを、80%にしておけば、まだ蓄電モードであっても、80%でグリッドからの蓄電がストップしますから、無駄な購入を防げます。自分で頃合いを見て、グリーンモードに切り替えても良いですが、だいたい充電したい時間帯を蓄電モードにして、それ以降、朝までを放電モードにしておけば、グリーンモードへの切り替えはそれほどシビアにタイミングを取らなくても大丈夫です。

当たり前ですが、蓄電池は、充電か放電のどちらか、もしくはどちらもしないという事しか出来ません。ポータブル電源みたいに充電しながら放電なんてことは出来ないのです。例えば、PVが発電しているとき、それが自家消費に足りない場合は放電し、余る場合は蓄電します。蓄電モードの時は、何があっても放電はせず、PVの発電量が足りない場合は、自家消費はグリッドからの電力で補われますし、発電量が余っている場合は、グリッドからの電力に加えて余った分の電力が蓄電されます。ちなみに、余った分の発電の電気を蓄電にするか、売電するかは選択できます。また、この余った分の蓄電は、放電モードの時も有効で、その時は、放電モードなのに、放電はせず、PVからの電力を蓄電します。では蓄電モードと同じかというとそうではなく、放電モードで蓄電状態になっているとき、グリッドからの電力は消費されません。

蓄電モードでは、自家消費の電力が足りない場合は、グリッドから供給され、放電モードでは、PV発電が余っているときは、蓄電されるということは重要ですから、頭に入れておく必要があります。

では、グレーゾーン(蓄電でも放電でもない時間帯)はどうなのでしょうか? これは、予想通り、(グリッドからの)蓄電も、放電もしません。PV発電が余っている場合には、PVからの蓄電はします。この状態はなにか使えそうな気はするのですが、今のところ思いつきません。PVからの充電はする、発電が足りない時は、グリッドの電気を使う、グリッドからの蓄電はしない。ですから。例えば、発電が不安定な状態で、でもまったく期待できないわけでもないからグリッドからの電気を買うのも躊躇われ、しかし電力単価が安い時間帯で、自家消費では発電量が一時的に足りなくても、バッテリーを温存して積極的にグリッドの電力を使いたいというようなややこしいケースでは有効かもしれませんね。発電した分はとりあえず貯めておけ、電気代は安いから今は買った方が良い。だからといって、蓄電用に買ってしまうと、万が一100%超えたら無駄になるなぁみたいな感じですね。ただし、そんなことするなら、一旦グリーンモードにして、発電量がなくなる頃に、蓄電モードに切り替えて充電してしまうか、あるいはこのままだと満充電は望めないと判断して、最初から蓄電モードで蓄電してしまって、満充電になったらグリーンモードに切り替るとかしたほうが楽そうです。

といった具合に、TOUモードは、積極的に単価の変動を利用して、電気を節約したい人には非常に面白いモードなのですが、普通の人にとってはめんどくさい以外の何物でもありません。

ちなみに、本来TOUモードは、こんな目的の為にあるのではなく、深夜電力など、決まった時間帯で単価が安くなる契約に対応する為のモードです。基本パターンは、深夜は充電、朝と夕方は放電、日中(発電がある時間帯)は、グレーゾーンにして売電(蓄電ではない)です。朝夕は発電量が少ないのに、単価が高いので放電、昼間は発電した分で自家消費を賄って、余った分は売電する。発電量が足りない場合は、高い日中の電気を買わなければりませんが、その時は諦める。晴れの日が多いに違いないという楽観的なやり方でもありますが、本来なら季節ごとに時間枠を調整して最適化する必要があるので、面倒な面もあります。太陽光発電の設置業者によっては、このパラメータの調整をサービスとして提供しているところもあります。

いろいろ面白いTOUモードですが、私としては、これをアプリではなく、APIでコントロールできるようにして欲しいです。APIが提供されれば、自分のプログラムから設定を変えられますので、例えば、JEPXの単価を拾ってきて、それとリアルタイムの発電量と蓄電残量から、30分ごとにモードを自動で切り替えるようなプログラムを書けば、全自動で電気代を抑えることができるようになると思います。

カテゴリー: ZAKKI, 太陽光発電 パーマリンク