家計簿は自分の持っている資産を把握するためのものなので、株式投資の評価額を記載するのが良いようにも思うのだけど、評価額は頻繁に変わるので家計簿に記載するには相性が悪い。それに評価額は、あくまでも評価額であって、確定したものではないので、自分の資産とは言えない。
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何を記載するかを考えた場合に、評価額、評価損益、トータルリターンと、いろいろな金額があって混乱してしまうので、一旦これを整理する。
これは簡単で、現在証券口座に保有している、自分の資産の、その時点での価値の事。仮に瞬間的に全部売ることができたとしたら、今全部を売ったらこの金額が現金で手に入るという金額になる。
現在の残っている元本に対して計算され、現在保有している投資の評価額から、残っている元本を差し引いた金額が評価損益となる。
既に利確した分も含めた総合的な利益。つまり、利確した分も加味して、初めの元本と全体のパフォーマンスを見ています。
評価額に既に利確、損切りした分を加えた金額から、元本を差し引いた分となるので、リターンとしては正確だが、売った分が全部元本であるかのような計算結果となる。実際には売った分には損益が含まれるので、元本より多かったり少なかったりするので、結局いくら儲かったの?(損したの?)という意味では正しいのだけど、残った分の元本分を計算するのには適さない。
やはり評価損益は仮のもので、確定させるまでは家計簿に記載するのはおかしいし、頻繁に変わるので記載に適さない。仮に利益が出ていたとしても、それは利確するまで自分の資産とは言えないし、損も損切りするまでは、本当の損ではない。かといって、物を買った時のように、株を買った分を全部支出として扱ってしまっては、家計簿上の資産が大きく減ってしまって家計簿として機能しなくなってしまう。
という事から、家計簿には、現在証券口座で保有しているもののうち、元本相当の金額を記載すれば良いと思われる。そうすれば、評価損益に左右されず、安定した金額で家計簿に記載できる。
残り元本分 = 評価額 – 評価損益
ということになるので、一見評価損益が頻繁に変わると、残り元本分が変わるような計算式に見えるが、実際には、評価損益の方が、残り元本から計算されるので、残り元本は変わらない。
評価損益 = 評価額 - 残り元本
であって、評価額が変わるから評価損益が変わるのであって、残り元本は変わらない。
株を買った時は、単純に残り元本に、追加購入した金額を加えれば良い。もちろん購入後に、評価額から、評価損益を引いた金額と一致する。
特定の銘柄を全部売るときは計算は単純化されるけど、一部を売った場合には、売った金額のうちいくらが元本なのかが良くわからない。割合とか平均購入単価から計算すればよいのだろうけど、なかなかに面倒だ。利確なら、元本分は購入時より少なく含まれ、損切りなら、購入時より多く含まれるはずだ。真面目に計算していたらややこしいので、これは、次のように考える
これなら出来そうである。利確であれば、現金側に利益が加わり、損切りなら、証券口座側から損の分が元本から目減りしている事になり、結果、評価損益を加味しない、その時点での本当の資産が家計簿に記載されていることになる。
100万投資していて、50万の含み損がある場合に、本当の資産は50万じゃないか?という声が聞こえてきそうだが、含み益が50万出ている時に、150万が本当の資産ではないのと同じように、本当の資産は、やはり100万なのだ。評価損益は、それを確定したタイミングで、利益になったり損になったりするので、確定するまでは、どちらでもないのである。もっと言えば、評価損益なんて絵に書いた餅であって、みんながそのくらいが妥当だろうと思うから損益なのであって、まったくあやふやなものなのだ。現金に置き換えれば、1万円札を持っていって買い物をするとき、みんながそれを、1万円という価値があるとして、その1万円でこれだけのものが買えると思っているから1万円なのであって、例えば市場に魚を買いに行く時に、昨日1万円で10匹買えたからといって、今日も10匹買えるわけではないのと一緒だ。魚の値段が変わったとも言えるが、1万円の(魚に対する)価値が変わったとも言える。現金の価値は非常に安定しているので安心感があるが、今のようなインフレの時代では、徐々に価値が下がっていて、株式で言えば、毎日含み損が膨らんでいる状態とも言える。そんな状況で、本当の資産はと言われれば、やはり1万円だと答えざるおえない。現金であっても株式であっても、それを手に入れた時の価値を現金で計算した額を記載するしかないのだと思う。