稲妻が輝く瞬間に居合わせる

長期投資を推奨する記事では、「稲妻が輝く瞬間に居合わせろ」という言葉がよく登場しますが、一旦売却すると、再び市場に入るのが難しいという意見もあります。一方で、「セル・イン・メイ」というアノマリーがあり、5月に売却して10月頃に戻る戦略も存在します。2024年では、7月初旬に売却し、10月か、大統領選後の11月に市場を見ながら戻るという選択肢も考えられます。

どちらの戦略を選ぶかは、その人のメンタル次第です。売却後に市場から退場するのか、再び戻るのかは、心理的な要因が大きく影響します。売る理由が恐怖からなのか、それとも戦略的な判断によるものなのかで、その後の行動も変わってきます。もし恐怖で売った場合、再び市場に戻る可能性は低く、「稲妻が輝く瞬間を待て」と勇気づけるべきです。一方、戦略的に売るなら「セル・イン・メイ」を勧めるのも一つの考え方でしょう。

自分で決めた損切りラインを超えても、「稲妻が輝く瞬間」を信じて持ち続ける場合、たとえ稲妻が輝いたとしても、すぐにプラスに転じるわけではありません。もしその稲妻が一日の上昇を意味しているのであれば、その上昇分は、すでにホールド中に失ったものの一部かもしれず、輝く瞬間に居合わせても大きな意味はないかもしれません。ただ元に戻っただけで、利益を得たわけではないのです。

「稲妻が輝く瞬間に居合わせる」という話は、ホールドするだけでなく、積み立て投資を継続していなければ意味がありません。例えば、NISA口座では多くの人が月1回のペースで積み立てを行っていますが、次の投資タイミングまでに稲妻が輝いたとしても、それが一日だけの出来事であれば、その利益を享受するのは難しいでしょう。結局のところ、輝く瞬間に居合わせることよりも、安く買える間に積み立てを継続する方が重要です。したがって、例えば年初に一括で買い、ホールドしている人には「稲妻」の話はあまり関係がないと言えるでしょう。長期的には、緩やかな上昇に乗っているだけで、短期的な市場の変動にはあまり影響を受けません。

どちらの戦略が良いかは誰にもわかりません。もし両方を狙う戦略を取るとすれば、NISA枠では積み立てを継続し、翌年のNISA枠分を特定口座で運用するパターンが考えられます。2025年になったら、特定口座からNISA口座に一括で移す、または特定口座を利確してNISA口座の積み立てを継続する、あるいは特定口座を少しずつ切り崩してNISA口座に積み立てるなど、柔軟な選択肢があります。

また、特定口座ではNASDAQやFANG+などリターンが大きなものを狙い、NISAではS&P500のようにボラティリティの低い長期向きの銘柄に投資することで、NISA口座を安心してホールドし続けることができます。最終的な目標は、NISA口座に長期で持てる銘柄を集中させ、それをできるだけ長期で運用することです。特定口座の運用はそのための手段に過ぎません。年間の資産配分としては、例えばNISA 70%、現金15%、特定口座15%という組み合わせも面白いかもしれません。このパターンでは、NISAが1,800万円になった時点で、NISA約2,000万円、現金450万円、特定口座(元本)450万円という状況になります。

もし65歳でこの状態に到達した場合、年金不足分を特定口座から切り崩して補填し、5%の運用で毎月10万円ずつ取り崩すと、70歳くらいまで持ちます。この時点でNISA口座が2,700万円になっていれば、そこからNISA口座を5%で運用しながら、毎月10万円ずつ取り崩しても、資金が枯渇することはありません。仮に相場が悪く、運用利回りが3%に落ちたとしても、107歳まで持つ計算です。

重要なのは、現金450万円があることです。これにより、特定口座やNISA口座の取り崩しは生活費として考え、突発的な出費にはこの現金を使えば良いでしょう。高額医療補償があるので、よほどのことがなければ450万円で足りるはずです。それでも足りない場合は、特定口座やNISA口座から取り崩せば良いでしょう。生活が脅かされるような危機に直面した場合、ためらわずに資金を使うべきです。

このような戦略を実行することで、「稲妻が輝く瞬間」にも居合わせることができ、恐怖に耐えながらホールドし続ける必要もなくなるのではないかと思います。

株式投資において「3年で9割が撤退する」という話がありますが、これはやや疑わしいと感じます。ある人が完全に株式投資から撤退したかどうかをどのように統計を取るのか疑問です。1ヶ月、1年、3年後に再び投資を再開する人や、一時的に資金が必要で一旦売却する人も含めての9割だとしたら、実際に撤退した人の割合はもっと少ないのではないでしょうか。

長期の積立分散投資は重要ですが、何がなんでもホールドし続けることが正解なのかは一概には言えません。投資は自己責任なので、自分なりの理屈があれば、それを試してみるべきです。YouTubeなどで誰かが不特定多数にアドバイスする際、安全策として「売るな、継続しろ」と言うのが主流であることは理解できますが、実際には彼らが「危なそうだから売っちゃった。しばらく様子を見てから強気相場に入るよ」と言っているかもしれません。そのため、あまり真に受けすぎない方が良いでしょう。

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