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~売却タイミングと再投資の考え方~
老後の資産運用では、「どう取り崩すか?」という出口戦略が注目されがちですが、NISAを使った非課税のリバランスも非常に重要です。ここでは、65歳から年金生活に入るという前提で、NISAの年間360万円の枠をどう活用し、含み益を生活費に充てながら、次年度の再投資につなげるアイデアを説明します。
非課税での売却と再投資は、リバランス戦略
NISAでは、売却益も非課税のため、資産の組み換え(リバランス)が税コストゼロで行えます。
たとえば、12月に米国株を売却して非課税で含み益を確定し、翌年1月に新たなNISA枠でインド株や金などへ再投資することで、リスク調整をしながら資産のメンテナンスが可能です。
含み益だけでは生活費はまかなえない
年利5%運用だと、360万円の運用益はわずか18万円。
この程度の含み益では、生活費の柱にはなりません。そのため、NISAでの売却は「生活費確保」ではなく、あくまでポートフォリオ再構成のためのリバランスと捉える方が現実的です。
売却額の計算と安全マージン
翌年のNISA枠360万円をフル活用するには、元本ベースで360万円を確保する必要があります。
含み益がある場合、売却額は以下の式で逆算できます:
売却額 = 元本目標額 ÷ (1 − 含み益 ÷ 評価額)
ただし、売却時点の価格変動を見越し、実務上は「380万円程度を売却目安」にするのが安全です。
売却のタイミングはいつがベスト?
- 11月中旬〜12月中旬はボーナス・年末アノマリーで市場が強含みやすく、狙い目
- 12月20日頃までに売却すれば、NISA枠の年内処理も安心
売却の判断が面倒なら、「12月20日を毎年の売却日」と決めておくのもひとつの戦略です。
再投資は年初の枠が確定してからでOK
多くの証券会社では12月26日ごろから翌年のNISA枠で予約買付ができますが、この時点ではNISA枠はまだ“仮”の状態。
予約した買付が枠を超えると、自動で特定口座に入ってしまうリスクもあるため、
「特定口座には入れたくない」場合は、以下を徹底しましょう:
- 証券会社の設定で「NISA枠超過時はキャンセル」を選ぶ
- 年明けに枠が確定してから冷静に買付判断を行うのが安全策
成長投資枠と積立投資枠の使い分けも有効
- 成長投資枠(240万円):リバランスや一括投資で活用
- 積立投資枠(120万円):積立設定で長期の安定運用に
全部を一括で使わず、50~80%程度だけ先に使っておき、あとは相場を見て段階的に埋めていく戦略も有効です。
まとめ
年末に売却し、翌年に再投資するというNISAの使い方は、生活費の確保というより非課税でのリバランス戦略と捉えるのが現実的です。
- 早すぎず遅すぎない12月中旬までの売却
- 売却額は含み益を見込んで380万円程度
- 年始のNISA枠確定後に落ち着いて再投資
- 枠の使い切りは年単位で柔軟に考える
「急がず焦らず、でもルールに従って粛々と動く」——これが、老後のNISA運用のコツかもしれません。