iPhoneを毎日チャージして、また使って、また充電して……やがてバッテリーは劣化して交換される。一見すると虚しい繰り返しのようにも思えます。
けれど、私たちは“iPhoneを維持するため”に充電しているわけではありません。iPhoneに役立ってもらうためにチャージしているんですよね。
そのチャージ方法も、自宅のコンセントだけでなく、モバイルバッテリーだったり、キャンプ場ではポータブル電源を使ったりと様々。そんなことを考えていたら、「これって資産管理に似ているのでは?」と思い至りました。
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資産カテゴリ | バッテリー比喩 | 価値保存性 | 自己発電性 | 流動性 | 一般的安心感 | 実質的安心感 |
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タンス預金 | アルカリ乾電池 | × | × | ◎ | ◎ | × |
銀行預金 | 小型充電池 | △ | △ | ◎ | ◎ | △ |
投資全般 | ソーラー+蓄電システム | △〜◎ | ◎ | △ | × | △〜◎ |
ゴールド | ポータブル電源(リン酸鉄) | ◎ | × | △ | × | ◎ |
タンス預金は減らないように見えて、インフレによって静かに目減りします。銀行預金も同様です。ゴールドは増えませんが、物価が上がっても相対的に価値を保ちやすく、保存性能は極めて高いといえます。
つまり、「保存性」とは、単に“金庫に入っている”ことではなく、“安心して放置できる力”のことです。
株式や投資信託などの投資には“自己発電性”があります。企業が価値を創造すれば、それがリターンとなって資産を増やします。
銀行預金もわずかながら金利がありますが、インフレ率を上回ることはほぼありません。
ゴールドは増えませんが、「減らさない」という意味で独自の立ち位置にあります。
現金や銀行預金は、すぐに使えるという点で圧倒的に流動性が高いです。これは「生活費」や「緊急支出」にとって重要な性能です。
投資やゴールドも換金は可能ですが、タイムラグや価格変動があるため、日常用途には向きません。
「今」使う資産と「将来」使う資産を分けて持つことが重要です。
日本人は「目に見えるお金」に安心感を抱きがちです。タンスに現金があると安心する、という感覚は根深いものがあります。
しかし、目減りする現金を長期で保有することは、実はもっとも“安心から遠い”行為かもしれません。
ある人が言っていました。
「これからの時代は、タンス預金じゃなくて、タンスゴールドだよ」
最初は冗談かと思いましたが、よく考えると納得がいきます。見える安心ではなく、減らない安心が求められる時代です。
私はこう考えています。
人は自ら働き、社会に貢献することで価値を生み出す存在です。資産運用は、その得られた価値を“有効に使う”ための技術にすぎません。
財布の中身が増えることよりも、自分の人生が豊かになることのほうが大事。資産とは、人生を動かすための“蓄電池”なのです。
目的 | 推奨資産 | 理由 |
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日常支出 | 銀行預金 | 流動性最優先 |
中期備え | 投資 | 成長と発電性を活用 |
長期保存 | ゴールド | 減らないことに特化 |
資産を分けて持ち、役割を決めて、必要に応じて見直す。
それがインフレ時代を乗り越える、賢いチャージ設計なのかもしれません。