Categories: 太陽光発電

住宅用太陽光発電とZEH

住宅用太陽光発電は設置すべきか否か。Youtube にも多数動画があがっているし、ネットでも多数の書き込みがあるが、絶対に設置すべきだという意見と、絶対に設置すべきではない(設置するやつはバカ)みたいな意見を言っている人は、おそらく、フォロワーもしくはPV目当てで、本当はどっちでも良いけど、注目を集めたいだけの人だと思われ、実際、そんな感じの人であることが多い。一方、実際に自分で取り付けた人、あるいは住宅メーカー、太陽光発電関係の会社の人たちの発言は、ほとんど条件付きだ。私がお願いしたフロンティアジャパンの営業の方も、条件を判断して設置すべきでないと判断した場合は、断ることもあるとおっしゃっていました。

設置条件

設置条件は大きく次の2点です

  • 環境条件
  • 設置目的

環境条件は、その住宅が太陽光発電に適しているかどうかという事ですが、地域、屋根の方角、傾き、面積、隣接するビルの影などの遮蔽物といった物理的な要因です。我が家の場合は、北海道というところがデメリットになるのかと思っていたら、フロンティアジャパンによれば、北海道は日照時間の問題はあるが、案外太陽光発電に向いているのだそうで、その一番の根拠は夏でも涼しいということなのだそうです。太陽光発電は(太陽光発電なのに)熱に弱く、気温がある程度高くなると発電量が低下してしまうのだそうです。北海道はそういうデメリットが少ないとのこと。その他の要因については我が家は結構良い条件を満たしているようです。この環境条件は考える余地の無い絶対条件なので 0 ~ 100 のどのあたりにあるのかを見積もって判断すれば良いですから、シンプルです。

設置目的については、まさに人それぞれで、ここが意見の分かれるところです。太陽光発電システムを所有する事自体が目的であれば、シンプルに設置すべきと言えるわけで、既に生活用の車を持っていて不自由していないのに、趣味の車をもう一台買うような感覚でしょう。そういう人もいらっしゃると思いますが、多くの人は、所有欲よりも、投資の意味合いの方が大きいでしょう。その投資に対する考え方の違いで、設置すべきかどうかが違ってきます。

設置すべきではないという意見の人の多くは、「金」です。こういう人たちは、300万出して太陽光発電を設置して、10年前後で回収、それ以降は儲かる というような考え方をしているのですが、パネルの発電量も通常 4kW 前後が標準のところ、10kW とか載せたり、FIT について多くを期待したりグラフを示したりして、マメに計算されていますが、太陽光発電は相手が太陽で天気にも左右されますし、電気代や国の政策などによっても、その「効果」が上下します。回収までに10年 20年とかかることもあり、投資対象としては不確定要素が多すぎますから、設置すべきではないという事になります。

では、設置すべきとまではいかなくても、設置しても良いという目的は?とうことですが、金(リターン)以外のすべてがそれに該当します。その多くは、精神的なものですから、あまりに金にフォーカスしている人には全く論外とバッサリ切り捨てられてしまうような事です。

例えば、洗濯機を買う時に、他人の洗濯物も洗ってお金を稼ごうという人は、コインランドリーの経営者でもなければ、普通の家庭ではほぼ無いと思いますが、多くは生活を便利に楽にしたいという目的だと思いますけど、これも投資と言えます。金で回収するのではなく、自分への投資、家族への投資ですね。楽になった分家族団らんの時間が増えたり、健康的な生活をおくれるようになったり、浮いた時間で勉強したり新たなことを始めたりなど、得られるものは少なくありません。太陽光発電の場合は、一番大きいものは、電気代の節約になりますが、これも一見金の話のように見えますが、そうでも無いと私は思っています。電気のようなライフラインのコストが上がると将来の生活に不安を覚える人も少なくなと思いますが、その不安から開放されます。災害があって大規模停電があっても、数日、天気次第では更に長期間、電気に関してはもちこたえられるという安心感が手に入ります。そして、私にとって一番大きいのは、社会貢献、環境問題への投資です。これはきれいごとではなく、CO2削減は、地球人にとっては、もう待ったなしの状況に来ていて、そんなの各国の政府がなにか決まりを作って、工場とか大きいところがやれば良いだけでしょ?自分には関係無いなんて言ってられないのです。目的を達成する為には、各個人がやれることをやっていかないと間に合いません。

個人でやれることってあるの? 私一人がやってどうなるの? 無駄な金は使いたくない。そんな余裕なんかないと考える人も多いと思いますし、私もそう考えている部分はあります。ですが、100%無いというわけではなく、探すと個人でできることもあります。そしてその中で折り合いを付けやすい点と、小さくても長期間効果が見込める点で、期待できるのが、ハイブリッドカーと太陽光発電だと思います。EVはバッテリーがまだ三元系で、現時点ではマイナス要因の方が大きいですし、水素カーは普及までにもう少しかかりそうですが、ハイブリッドカーはEVに比べてバッテリーも小さいですし、ガソリン車に比べて燃費も良いです。その電力もエンジンの余力、最大効率の発電機、今まで無駄になっていたブレーキのエネルギーの回収から生み出されます。これはむしろ個人レベルで無いとできないことです。太陽光発電も、住宅用は、もともとある住宅の屋根に設置するので、メガソーラーのような森林伐採といった環境破壊の要素はありません。夏であれば、今までは直接屋根で受けていた太陽光を発電にまわすことで、家の中が設置前より涼しくなり、かつ電気も得られるという多重のメリットが期待できます。そして、電力会社から電気を買う量を抑えれば、火力発電などの減少にもつながってくるので、1軒あたりの貢献度は小さくでも、集まれば大きくなり、それが、10年 20年と長期間続くことを考えると、社会全体としては相当な違いになってくると思います。そして、おそらくそれは、大きな工場とか、電力会社などでは出来ない、個人個人でしかできない社会貢献になると思います。

ZEH ゼッチ

個人的には、こういう言葉は嫌いなのですが、 (Net) Zero Energy House で、ZEHなのだそうです。私はオフグリッドとかZEHとかは、宇宙開発と同じようなものだと思っています。将来の為に、国や強い興味を持っている企業や個人が行う投資で、そこで得られた技術を、個人レベルの太陽光発電や、その他の代替エネルギーなどに落とし込んでいくということを目指すものとしては良いと思いますが、個人が新築であればわかりませんが、既存の住宅に対して期待できるものではないと思います。太陽光発電だけは、個人レベルでできるようになってきましたが、それでも、電力会社との契約を切ったオフグリッドで、Net Zero は難しいし、それを期待して太陽光発電を導入すると痛い目にあう可能性が大きいと思います。今、ZEHを謳っているモデル住宅などは、非常に大きな太陽光パネルを設置したり、風力発電を備えたりして大きな電力を確保しようとしているものが多いのですが、これは電力以外のエネルギーを個人レベルで確保することの難しさを意味していて、結局はオール電化の言い換えになってしまっています。しかし、宇宙開発にスペースデブリ問題があり、原子力発電に核のゴミ問題があるように、太陽光発電にもパネルの破棄問題があります。そのような問題を先送りにして、ZEHの様な極端な方向に振ってしまうのは、いくら切羽詰まった状況だとしても、問題を先送りにするだけになる危険性があります。EVに対してハイブリッドカーがあるように、太陽光パネルもZEHを目指していきなり大きなものを載せるのではなく、バランスを取って進めていき、ゴミの問題を解決する技術の発展を待ってから大きく切り替えて行く必要があると思います。

最後に、私は太陽光発電設置時には、「これで自分で電気が作れるから電気使い放題だ」と考えるのは本末転倒ではないかと思っていて、むしろ、生活を見直し、いままで無駄に使っていた電力をより節約することを考えるべきだと思います。洗濯機を買ったからといって、今までよりじゃんじゃん服を汚そうなんて思う人は少ないと思いますが、得られるメリットはもっと他の事に有効に使うべきでしょう。そういう意味で、太陽光発電+蓄電池は結構有効で、特に最近の蓄電池はネットワークに接続されていて、スマートフォンで簡単に発電量や使用量、残量が確認できます。これは無駄を視覚化して節約につなげるのに役立つはずです。個人レベルで節電に心がけると同時に、より電気を使わない製品の登場を期待します。私が今一番無駄だと感じているのは、北海道の冬の冷蔵庫です。屋外が冷蔵庫より寒いのに、なんで暖房の入った部屋に冷蔵庫を置いて、電力を使って冷やさなければならないのでしょう?FFストーブのようにダクトで外気と接続して、外気温が低い時はそれを取り込んで、足りない分を電力で補えば良いのではないか?と思うのですが、そういう冷蔵庫を見たことがありません。他には太陽光発電設置後の暖房を考えた場合は、ハイブリッドセントラルヒーティングシステムというものが欲しいです。電力が余っている状態では、電気でお湯をわかして、夜間など不足している時だけ自動で灯油に切り替えるような給湯と暖房の仕組みがあれば良いなぁと思います。セントラルヒーティングならボイラーを交換するだけで対応できるので、可能性はあると思うのですが、エコキュートなど完全に電力に振っているものはあるのですが、灯油併用のものって無いですね。

はじめ

Share
Published by
はじめ

Recent Posts

株式投資に踏み出す為の簡単な計算

かつて昭和の時代、銀行預金は絶…

3日 ago

株はハロウィーンに買え

今日の米国市場は、まさにそんな…

3週間 ago

SOTO Gストーブ ST-320を車内で使う

キャンプの時は良いのだけど、車…

4週間 ago

パワフルなトヨトミ君とあったまるキャンプ

秋キャンはトヨトミ君と共に 今…

1か月 ago

モーニング・グローリーの倒し方

今回で今年のキャンプはラスト。…

1か月 ago

モーニング・グローリー 初めてのシェルター

テントでもタープでもないもの …

1か月 ago