Categories: ZAKKI太陽光発電

燃料費調整額 と 再エネ賦課金

電気というのは、依存度はそれぞれ異なるものの、現代社会の生活に必須であるから、電気代がある程度コントロールされていないと、安心・安定した生活が送れなくなる。そのために契約ごとに基本料金と単価(使用量1kWhあたりの値段)が設定されていて、それについては変動が起きづらいシステムになっている。月額は使う量が多ければそれに比例して高くなり、少なくなれば安くなると非常にわかりやすかった。仕組み的には今も大きくかわらないのだが、非常にコントロールしにくくなってしまったのは、単価が安定せず、毎月のように上がっているので、先月と同じくらい使ったから同じくらいの料金だろうという見込みがはずれてしまうためだ。

燃料費調整額

電力会社が電気を作るための燃料の価格変動を電気を使う客に転嫁するためのもので、多くの商売は上代と下代、販売価格と仕入れ価格、商品の値段と材料コストといったものがあって、その差額が利益になるわけですが、原料代があがったからといって、すぐに商品の値段に反映させるのは難しく、たいていはメーカーなどが企業努力である程度吸収しながらゆっくりと価格に反映されていくものと思うが、結果嵐が過ぎ去れば価格は変わらずに済む場合もあるし、長期化すれば、遅れて値上げということにもなる。上がってしまうのを完全に避けることはできないけど、消費者にも準備する余裕があったり、あるいは別の商品にするとか、いっそ買わないという選択肢もある。しかし電気の場合は消費者側に他の電気を買うとか、使わないという逃げ場が多くない。我慢すれば済む問題でないことも多い。にもかかわらず、燃料費調整額は毎月変動し、上限を撤廃している電力会社もある。新電力は上限が無い会社がほとんどだが、ほくでんも特にいままでお得ですよぉと甘い誘いでオール電化導入に誘導していたような契約を中心に上限を撤廃した。そのことによる影響は、昨今のオール電化のお宅の電気代が10万超えといった悲鳴からも非常に大きいことがわかる。それはいずれオール電化でない契約にもやってくるだろう。

何が悪いのか。一番の問題は、原料価格の変動を企業努力で吸収せず、ダイレクトに安易に商品価格に反映できてしまうということだと思う。北海道電力は赤字・赤字と言うが、その赤字を客にばかり押し付けていて、経営努力が無い事を問題視するひとが多いのだけれど、そういう体質を助長しているのが燃料費調整額だと思う。原料の値段が上がったから電気の値段も上がるのは当然でしょといわんばかりだが、競争が正しく行われていれば、それは当然ではないし、企業として全く進歩が無いということでもある。燃料代が上がっても影響を受けにくい体制づくり、無駄なコスト、特に電気の生産と販売に関係の無いコストを抑えて客にその分を負担させない努力をして欲しいものだ。

再エネ賦課金

太陽光発電などの自然エネルギーを普及させる為に国が国民に課した税金といったものであるがかなりグレーだ。「資源エネルギー庁によると、再エネ賦課金は再生可能エネルギーの導入を支え、ゆくゆくは発電設備建設にも活かされ普及促進につなげるために役立てるとされています。」という説明はさっぱりわからない。例えば太陽光発電を普及させるとして、全国の家屋の何%が太陽光発電を行うことを目指しているのか、そしてそうなった時に、日本の電力事情はどうなるのか、化石燃料の価格に左右されずに電気代が安定するのか、全体で下がるのか、さっぱりビジョンが見えてこない。ビジョンも示さずに、ただただ適当な理由をつけて金を取っているようにしか見えない。

太陽光発電を自宅で行う時に、多くの人はFITという売電契約を結ぶのだが、これは10年間固定価格で電力会社が電気を買い取るという仕組みで、こういうところに再エネ賦課金が使われているらしいが、なんともおかしな話だ。電気を買わない人の収入を電気を買っている人が負担しているということだ。ここで電気を買わない人は買えない人ではなくて、むしろ一軒家に住んで太陽光発電システムを持てる余裕がある人であることも多いので、そういう人たちが余った電気を売る時の買取価格を、冷房や暖房を我慢したりしながらなんとか電気をやりくりしているような人たちが(も)負担しているということになる。そのFITの買取価格は、年々下がって、10年前は、38円だったものが、今では、16円になってしまっていて最早蓄電池無しの太陽光発電は採算が取れないものになってしまっているのに、再エネ賦課金の方は、毎年どんどん上がっていくというのも謎で、こんな仕組みを考えた人の罪は大きい。適当な理由をつけて税金を絞り取る以外の何物でもないようにも思える。再エネ賦課金は、正しくは、再生可能エネルギー発電促進賦課金 だが、FIT買取価格がまったく意味ないほど下がってしまった現状では、促進ではなく脅迫だ。太陽光発電付けたらお得ですよの時代が終わり、太陽光発電付けないと電気代で家計が大変になりますよ に変わってきたことは、ほくでんが、泊原発を稼働させたら電気代を下げると言っていることからも感じ取れる。飴から鞭へ、いかにも今の政府のやりそうなことだ。

この再エネ賦課金も、電気を使った(買った)量に応じて追徴され、かつ、その金額は今後も上がっていくと言われている。そもそも電気代には消費税というものがかかっているが、賦課金は実質税の二重取りにはならないのだろうか?

結局電気代とは

単純に電気を使った分のお金ではなくなってしまっていて、非常にグレーな政治的なものや、電力会社の怠慢をも負担させられているということになると思う。そしてそのグレーな部分がブレーキを失いどんどん拡大していき、去年の暮れから今年にかけて誰もがおかしいと思うまでに大きくなってしまっている。

対策はあるのか?

一つには、競争原理が働いている新電力に切り替えるということがあるが、新電力の電気料金は国の認可無しで変更できるうえ、燃料費調整額の上限が無いところが多いので、1kWhあたりの単価で比較して安く見えても、実際にはそうでなかったり、契約当初は良くてもそれが続くとは限らないので、常時見直しが必要になってくる。

あるいは深夜電力の契約をして、洗濯など電気を多く使うものはなるべく夜間に行うと同時に、夜間割安な電気をポータブル電源などに蓄えておき、昼間はその電力を使うというような方法もあるが、実はこのポータブル電源には落とし穴があって、変換効率が100%ではないために、1kWh の電力を使うのに、ポータブル電源を充電するのには1.25kWhの電力が必要だったりするので、電力の購入量が増えてしまう。深夜電力は単価は安いが、燃料費調整額も再エネ賦課金は安くない(同じ)なので、メリットが無いどころか、場合によってはかえって電気代が増えてしまうことになってしまう。それにセントラルヒーティングのようなシステムは24H稼働が前提で、よほどマメな人で昼間の気温が十分高いか日差しがある程度ある日でもなければ、昼間の高い電力を使ってしまうことになるので、やはり逆効果ということも考えられる。

結局のところ、抜け道は無く、「電気を(なるべく)買わない」という当たり前の手段しか残っていない事に気づく。「買わない」手段は2つ。使わないようにするか、自分で作るかである。

使わない対策

家電を見直すとかこまめにスイッチを切るという方法が一般的だが、命の問題もあるし、節約にも限界がある。ただ、家で過ごさないという方法は多少は有効かもしれない。気のせいか、最近公園に車で来て、アイドリングしながら寝ていたりしている人が増えてきた気がする。電気代とガソリン代とどちらが安いのかわからないけど、家に居なければ電気代は抑えられるのかもしれない。スーパーとか銀行や病院の待合室とか、無料で暖かくすごせる場所はありそうだ。もう少し良い場所としては、図書館なんかは良いですね。本が読めるし、最近は映画とかも見れたりします。食事も調理時間の短いものにしたり、ご飯も炊飯器ではなく、鍋で炊く(鍋なら10分くらいで炊けますし、アルコール燃料も使える)方法もある。私が北海道に来た時は、夜は(乾燥するので)暖房を止めて布団に入って寝るというのがあたりまえで、東京出身の私は、北海道でそんなことしたら凍死するのではないか?と驚いたのだけれど、そんなことはなく、家と布団のお陰で普通に寝られるということを知りました。オールシーズン対応のダウンシュラフでもあれば、夜間電力消費ゼロも夢ではありません。冷蔵庫?一人暮らしなら使わないという手もあるし、冬の北海道ならクーラーボックスに食材入れて外に出しておけば良いです。実際我が家も古いポータブル冷蔵庫を外に置いて、りんごとか大根とかハムとかを入れています。北海道の冬は、暖房で温めた部屋に冷蔵庫を置いて食材を冷やすということに矛盾を感じます。一軒家だと食材取りに庭に出ていくのは面倒ですが、マンションとかバルコニーがある家は、冬の間は冷蔵庫止めて外にクーラーボックス設置作戦は使えそうです。

自分で作るという対策

我が家のように老後資金をはたいてまでもなのかはわからないけど、太陽光発電を設置しようという動きが活発化している。太陽光発電でなくても良いのだけれど、自宅に地熱発電とか水力発電を設置できる人は極めて稀だと思うし、個人でやって採算が取れるものでもなさそうだ。運動兼ねて自転車漕いで電気作るという発想も面白いが、それで十分な発電量が得られるかは体力勝負だ。ただ、電気を1日中、あるいは必要な時にその分だけ作るなんてことはなかなかできないので、作れる時に作っておくという事になり、その作っておいた電気をとっておいて必要な時に使う為には、方法は2つしかない。一つは一旦お金に変えておく方法で、これが売電だが、FIT含めて買取価格は雀の涙になっている。何しろ電気を買う時は、1kWhあたり30円も40円もするのに、売るときは16円というのはあまりにも理不尽だ。というわけで今は、蓄電池という選択肢しか残っていない。蓄電池は変換ロスがあるが、金に変える事による50%のロスに比べてずいぶんマシだ。それよりなにより、金に変えてしまったら、結局はその金で必要な時に電気を買うことになり、燃料費調整額や再エネ賦課金の呪縛から逃れられないのに対して、自分で作った電気を蓄電池に貯める場合は、それが発生しないから、その差は 50% 対 80% どころではなく、もっと大きい。

はじめ

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