社長から、とらふぐちり鍋セットを頂いた。
若い頃は「ふぐなんて高いだけでたいして旨いものじゃないのに」なんて思っていたが、この歳になると、だんだんとこういうものが美味しく感じるようになるのは不思議だ。
そんなわけで、前日の夜から義母に解凍時間を指示したり、Coopに小ねぎを買いに行ったりと、「今日はご馳走だ!」モード。
ふぐ鍋なんて作るのは初めてなので、説明書を見ながら、わくわくしながら鍋の準備。
皮の刺身を皿に盛り付け、一夜干に軽く粉してからフライにしたり。
ふぐひれもついていたので、辛口の美味い酒も用意して、燗の準備を整える。
冬なので七輪が使えないので、ひれはトースターを使って焼くことにする。
そのため、トースター用の網(細目)まで買ってきてしまった。
小ねぎは細かく刻んで薬味に。
もみじおろしも、セットに付いてきたのでは足りないので、大根をすりおろして
OhHotで作った。
そろそろ準備OKという頃になって、70だと言うのにクロネコにパートに出ている義母が帰宅。
クロネコは倉庫作業で無茶苦茶寒いらしいので、風呂を沸かしておいてあげた。
さっそく入るとの事。義母はカラスもびっくりの風呂時間なので、これも予定通りだ。
そんなこんなで、そろそろ準備OKというところで、ピアノの練習をしているみかこさんへ、内線コール。
練習をやめてやってきたみかこさんの第一声にやられた。
「あれ、まだできてないじゃない。おかぁさんもお風呂入っているし…もうちょっと練習してくる」
だって。
おいおい。今日はふぐ鍋なんだぜ。毎週末キムチ鍋の我が家でも、滅多に食べれないんだぜ。
こっちは朝から準備して、楽しみにてたのに….普通テーブルについて、鍋の火を入れたりしながら、わくわくするもんじゃないのかい!
せめて、「あ、今日はふぐ鍋なんだね」くらい言って欲しかった。
と思う私を置き去りにして、ピアノへ戻ってしまった。
仕方なく、孤独に鍋に火を投入して、レンジで熱燗を作って、トースターでふぐひれを焼く。
ぜーんぶ揃って、あとはもう黙って座れば食べられるというところまで用意して、
ようやく、義母とみかこさんがやってきた。
はぁ。
ふぐ鍋、ふぐのから揚げ、ふぐの皮と、ミニふぐづくしは、ひれ酒にした、久しぶりの日本酒とも
あいまって、なかなかの美味しさだった。
宴もたけなわ、ちり鍋を堪能した後に、雑炊にすべく、残ったふぐと野菜をそれぞれの
器に分けるところで、義母が一言。「ごめん、私ふぐ、あまり好きじゃないんだよね」
な、なんと。魚なならほとんどなんでも好きだというア・ナ・タがそんな事言いますか!
今日のこの大イベントはいったいどうなるんですか!
ショックに倒れそうになりながら、みかこさんとふぐを分けて、義母には野菜を。
そ、そういえば、から揚げも一番小さいやつを食べてたな。
ご飯投入。とき玉子と、味のアクセントに大葉を刻んで加える。
美味そうだ。
で、実際美味かった。そう、いままでもくもくと食べていたみかこさんが一言。
やっと美味しいといってくれた。「大葉が良い」との事。ふぐの出汁じゃないんかい。(;_;)
義母は、前日4合の米に3合分の水で炊いてしまった硬いご飯が無事捌けて喜んでいる。
あぁ、あなたたちは、余市という町に育って、魚好きだと思っていたのに、
鍋があまり好きでなかった私に、毎週末鍋を食べさせて鍋好きにしてしまったほどの
人たちなのに….
「もっと味の濃い鍋が好きなのよ」という義母の台詞で、
今日の「今年最初で最後の年末一大イベント、とらふぐちり鍋パーティ」は
「寒い冬に間酒を飲みながら、鍋と雑炊であったまろう会」で終わってしまった。
思えば私も「ふぐなんて」と思っていたんだし、会社の宴会で何回か食べているうちに
ようやく好きになったんだから、ふぐは時間がかかるのかもね。
そういうわけで、今年の年末は、とりあえずふぐ(福)は来たものの、
あまりぱっとしなかったわけで、やはり、福というものは、
それをどう感じるかという受け手の心の問題なのかもしれないなぁ。
と妙に納得させられる年末だった。
ふぐ鍋、とっても美味かったし、雑炊も美味しかった。
実は私は大満足なわけだけど、来年は家族みんなで満足できる福が
来てくれるといいですねぇ。
では、私なんかのつまんない日記を覗き見している暇なアナタも、良いお年をお迎えください!