悪という事について

 先日、必要悪について書いたが、必要であろうと、なかろうと、許されようと、許されざろうと、まず、悪は悪であるという事を考えるべきではないだろうかというのが私の意見。 情状酌量であっても、正当防衛であっても、それが「悪い事」を「悪くない」と言っているわけではなく、「悪いけど仕方ない」というようなニュアンスのものだと思っている。当然ながら、それらは、多くの情報と複雑なプロセスで結論付けられなければならないものであり、到底その判断そのものは法律にはなり得ない。
 そのはずなのに、戦闘という殺人破壊行為という悪がどのような場合には許されるのかという法律を作ろうとしている事は、かなり滑稽に思えるのだが、そんな茶番を演じている政党はともかく、その無意味な前提条件が少し変わったくらいで自分たちの主張が通ったなどとごまかしを言っている某政党の一部幹部たちもまた、とんだピエロだ。日本のトップレベルの教育を受け、日本をリードし、世界の為に尽力することを期待されている人達がいつまでそんな事を続けているつもりなのか、いい加減目を覚ましてもらいたいものだ。

 さて、悪とは何だ、を定義するのは、かなり個人的でありながら、しかし、社会的な共通認識というものがなければならないと思うので、とても難しい。 そして、悪という言葉の意味は広く、(海外の人の考え方を私は知らないのだが)日本では、必ずしも否定的な捉え方をされているわけでは無いという事もまた、話をややこしくしている。 たとえば、「ちょい悪オヤジ」の悪も悪だが、ちょいワルオヤジは「ちょっと格好良い」のであって、「軽微な犯罪を犯したオヤジ」の意味ではない。もちろん「立ち小便をしたオヤジ」でも無い。

 これを世間一般ではどのように定義しているのか実はよくわからいのだが、私は、次の様にシンプルに考えることにしている。

 飲食や経験によってそれを自分の中に取り込んだ時に生じた自分の変化が、好ましいものでない場合、その食べ物や経験は自分にとっては「悪」である。

 食べ物についてはよく、「野菜は体に良い」とか「タバコは体に悪い」などと言って、細かい部分では個人差があるとは思うが、こういう「悪」の判断は日常で使われると思う。一方「その経験は心に良い」とか「心に悪い」という表現はなかなかされないが、本質的には同じではないかと思っている。 今まさに殺すか殺されるかという時点において、仕方なしに相手を殺してしまった場合、それが正当防衛とみなされて罪に問われなかったとしても、どれだけ憎い相手であっても、あるいは戦争において、全く知らず感情を持たない相手であっても、あるいはただボタンを押しただけで発射されたミサイルが多くの人命を奪った場合でも、「人を傷つけた」という経験は、その後の自分の人生において、自分の心に相当なダメージを与えるだろうことは容易に想像できる。

 子どもたちの間で、いや大人の世界でも、いじめという問題がクローズアップされているが、いじめという行為によって心に痛みを持ってしまうのは、いじめを受けた人だけでなく、いじめをしている側も同じで、むしろいじめている側の方が痛みが大きいのではないかとさえ思う。 もっとも じめにもいろいろあって、悪い事だと知っていて、自分でそう判断しているにもかかわらずその行為を行う犯罪行為としてのいじめもあれば、まだいろいろな事が十分に判断が出来ない年齢の子どもたちの間で起きているような、自覚を伴わないものもあるが、最終的にはその経験は、本人にとっては決して忘れ去る事ができるものではなく、長い人生の間でじわじわと心を傷つけていくことになる。 だから大人は、子どもたちがいじめという問題を起こさないように子どもたち自身に判断する力を与えて、そうなりそうな時は未然に防ぐ努力をしなければならないのだと思う。それには、説教だけなく、いじめが起きないムードづくりや、自らの態度を示す事も大事なのであって、いじめ問題について正論を唱えているだけで何もしない大人より、一見おちゃらけていて深い考えを持っていないように見える先生の方が、実は子どもたちのムードを敏感に察して良いムードを作ろうとこころを砕いているのかもしれない。 と、少し話が脱線した。

 この話に結論などないのだが、結局何が言いたいのかと言われそうな気もするので、まとめらしき事を書くとすれば、

 悪かどうかはその行為が何であるかとか、何故そうしたのかという理由でもなく、その行為の結果生じる変化で判断すべきではないだろうか。何が悪で何が悪でないか、どういう理由なら悪でないのかという議論に引きずり込まれてしまっては、正しい判断ができなくなるし、悪意を持った独裁者に良いようにまるめこまれてしまう事になる、という事に気づくことが大切ではないだろうか。

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